「ユルリ島の野生馬」展覧会

・「ユルリ島の野生馬」展覧会

以前のブログで北海道にあるユルリ島で暮らしている野生馬についてご紹介しました。→「ユルリ島に生きる野生馬」

ユルリ島の野生馬

このユルリ島の野生馬を撮影している岡田 敦さんの展覧会が東京都の大正大学で開催されます。

 

かつて「馬の楽園」といわれた北海道根室沖に浮かぶユルリ島。

その存在はこれまで道外ではあまり知られる機会がありませんでした。

北海道命名から150年の節目を迎えた今年。

本作品の関東での展覧会は初めての機会となります。

昨年度の東川町国際写真フェスティバルにおいて東川賞特別作家賞を受賞した作品「ユルリ島の野生馬」の展覧会に是非足をお運びください。

岡田敦写真展

↑クリックで拡大します

 

【ユルリ島の野生馬】
北海道根室半島沖に浮かぶユルリ島には、かつて昆布漁の労力として島に持ち込まれた馬の子孫が無人島となったいまでも生きている。

ユルリ島は周囲7.8km、面積168ha、海抜43m。

台地状の島の海岸線の大部分は30~40mの絶壁をなし、岩礁で囲まれている。
その切り立った断崖の上に昆布を引き上げるため、馬の力が必要だった。

「ユルリ」の語源は、「鵜の居る」を意味するアイヌ語の「ウリル」である。

島はエトピリカやチシマウガラスなど、希少鳥類に指定されている鳥の繁殖地であるため、北海道の天然記念物や国の鳥獣保護区に指定されている。

そのためメディアをはじめ、人の立ち入りは禁止されている。

ユルリ島に馬がはじめて持ち込まれたのは1950年頃である。

戦後、本土に昆布の干場を持たなかった漁師が、土地を求めて島に移り住み、切り立った断崖上にある干場に昆布を引き上げるため、馬を島に持ち込んだ。

馬は30~40m程ある崖の上で、網に詰め木枠に入れられた昆布を、櫓に下がった滑車を使って引き上げた。

最も多い時期には、約9軒の番屋と7基の櫓があった。

いまでも島には櫓跡が数カ所残り、干場跡に残る小石が当時の生活を偲ばせる。
しかし、昭和40年代になると本土に新しい干場ができ、エンジン付きの船も普及しはじめた。

それは昆布の干場を求めて島に渡った漁師にとって、島で生活を続ける必然性がなくなったことを意味した。

やがて島から人が去りはじめ、最後の漁師が島を後にしたのは
1971年のことだった。

島の馬は「連れてかえってきたところで馬を放つ場所がない。
肉として売ってしまうのも忍びない。せめて余生を島で暮らせたら」という漁師の思いから、馬の餌となるアイヌミヤコザサが豊富なユルリ島に残された。

本土でもトラックの普及により、多くの家が馬を売った。
その後、ユルリ島の馬は、近親交配を避けるため種馬だけが約5年おきに入替えられ、牡馬が生まれると間引きされた。

多い時には約30頭の馬が生息し、給餌を受けず、交配や出
産は自然にまかされた。

機械化が進み、多くの馬が家畜としての存在価値を失ってゆくなかで、ユルリ島の馬は人が去った無人島で使役されることもなく、島のなかで静かに世代を重ねてきた。

その姿を見て人は、その島を「馬の楽園」と呼んだ。

エトピリカが囀り、タチギボウシやツリガネニンジンなどの白花品種が咲き乱れる。

貴重な生態系の中で命を紡ぎ、世代を重ねながら島の環境に順化してきた馬たちは、根室の歴史や風土が生みだした文化的所産とも言える。

しかし2006年、間引きをしていた漁師たちの高齢化もあり、牡
馬が島から引き上げられた。島には14頭の牝馬だけが残り、馬はやがて消えゆく運命となった。
2006年に14頭いたユルリ島の馬は、2011年には12頭、2017年には3頭にまで減った。

夏になれば花畑とかすユルリ島は、約300種の植物が生育するため北海道の自然環境保全地域に指定されている。

しかし馬がいなくなれば、馬の餌となるイネ科の植物などで島は
覆われ、希少な高山植物を含め、島の植生は大きく変わってしまうだろう。

鳥だけではなく、植物や馬も含めて北海道の天然記念物に指定されていれば、ユルリ島には違った未来があったのかもしれない。

根室半島沖に浮かぶ小さな楽園で生きる馬の姿をみていると、
僕たちはいま文化としてなにを守り後世に伝えてゆくのか、そうしたことが問われているような気がする。

 

2018年  岡田 敦

ユルリ島の野生馬2
ユルリ島の野生馬

岡田 敦 OKADA Atsushi
会期: 2018 年4 月13 日(金)~ 6 月24 日(日)
開場時間: 10:00 – 19:00
入場料 : 無料
主催: 大正大学

後援: 根室市
落石漁業協同組合
根室・落石地区の幻の島ユルリを考える会
東川町国際写真フェスティバル
豊島区
作品制作協力: 株式会社堀内カラー フォトアートセンター
パイオテック株式会社
特別協力: NPO 東京画
会場: ESPACE KUU 空 (エスパス空)
大正大学 5 号館1 階 東京都豊島区西巣鴨3-20-1

出品作品: 約20 点 写真+映像作品

|会期中のプログラム(予定)|
アーティストによるギャラリートーク
ゲストによるトークセッション
スライドショー
書籍の販売

ユルリ島2

 

岡田敦

1979 年、北海道生まれ。

2002年、第4回富士フォトサロン新人賞受賞。

2003年、大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。同年、「生きること」に焦点をあてた写真集『Platibe』、『Cord』(窓社)を刊行。

2008年、日本全国の若者約50人を撮影した『I am』(赤々舎、
2007年)で第33回木村伊兵衛写真賞を受賞。同年、東京工芸大学大学院芸術学研究科博士後期課程修了、博士号取得(芸術学)。

2010年、『ataraxia』(青幻舎、2010年)刊行。

2012年、世界に潜む崇高な美しさを写真にとらえようとした『世界』(赤々舎、2012年)
を刊行。

2014年、 第66回北海道文化奨励賞受賞。同年、命の誕生の時間を赤裸々に撮りおさめた 『MOTHER』(柏艪舎)を刊行。

2015年、『1999』(ナガトモ)を刊行するなど、精力的に作品を発表している。
2011年からは、北海道根室市からの委託により、根室半島沖に浮かぶユルリ島に生息する野生馬の撮影を続け、2017年に第33回写真の町東川賞特別作家賞を受賞。

受賞
2017年 第33回 東川賞 特別作家賞
2014年 第66回 北海道文化奨励賞
2008年 第33回 木村伊兵衛写真賞
2002年 第4回 富士フォトサロン新人賞

写真集
2015年 『1999』(ナガトモ)
2014年 『MOTHER』(柏艪舎)

2012年 『世界』(赤々舎)
2010年 『ataraxia』(青幻舎)
2007年 『I am』(赤々舎)
2003年 『Cord』(窓社)
2003年 『Platibe』(窓社)

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UMA LIFE 2018年3月号

・UMA LIFE 2018年3月号

UMA LIFEの3月号が発売されました。
今回のUMA LIFEも役立つ乗馬の情報とキレイな写真が満載です。
是非ご覧ください。

UMA LIFE 2018年3月号

・2018年3月号 (2018年2月15日発売)の目次

特集1
今年こそ!異国の地へ 馬の旅
世界の馬に会いに行こう

●アイルランド ケルトの国でのんびり馬時間(青木賢至)
●ヨルダン ペトラ遺跡を巡る (長谷川久雄)
●インド 国産馬・マラワリホース (高嶋麻衣)
●キルギス シルクロードの国を馬で行く
●英国・ロンドン オリンピア・ホースショーを見に行く(田中雅文)
●COLUMN 海外乗馬の旅に魅了されて

 

特集2 北海道冬景色 1

●どさんこ牧場「D-base」の不思議な人馬一体
●帯広競馬場 ふれあい動物園
●連載 馬がいる場所
雪と共演するサラブレッドたち in 北海道・日高(写真:内藤律子)

 

読者リクエスト企画 第2弾!

●馬運車はどんな車? 慶應大学馬術部
●育成牧場って、どんなところ? 高木競走馬育成牧場(神奈川県厚木市)

 

今年も内外の競技会に注目!

●CDI Gotemba 2017 国際馬場馬術大会
●ジュネーブCHI大会

 

もっと馬を知ろう!

●みんなが集まる楽しい見本市 ホースメッセ
●田中雅文の外乗完全マニュアル 外乗で乗馬は上達する?
●太田宏昭の人と馬に出会う旅 親子馬 奇跡の再会

 

感度は360° 人&馬ナビゲーション

●各種目のトップライダーと一挙に会える馬術の祭典
●ナビ図書館 『ホースマン』(石黒建吉・著)
●北総新春ホースショー2018
●ピアッフェ通信 北原広之×大岩義明のスペシャルトークショー
●類くんの楽しい絵画館2 馬が好きでよかった!
●子どもたちの笑顔溢れるポニー牧場

 

好評!連載

●馬鏡 東良弘一日馬連馬術本部長に聞く (大久保登喜子)
●森裕悟のこんな感じで、どうでしょう 乗馬4級ライセンスへの道
●馬の調教 馴致 (長谷川雄二)
新連載!
●千本木倫子のイギリスからNeigh Neigh 聞いて
イギリス原産サフォーク・パンチ

●馬探訪 スズカフェニックス

 

役に立つ情報コーナー

●クラブガイド/馬のお仕事・リクルート
●うまうまVOICE/馬ちがい探し7
●UMA LIFE Collection/Information/読者プレゼント

 

 

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馬にまつわる神社(貴船神社)

馬の豆知識

・馬にまつわる神社(貴船神社)

以前のブログで、馬にまつわる神社として京都の上賀茂神社をご紹介しました。

今回も馬にまつわる神社として京都市左京区にある貴船神社(きふねじんじゃ)をご紹介します。

 

春日灯篭が連なる石段の参道がとても幻想的な貴船神社。

御祭神は高龗神(たかおかみのかみ)という水の神様です。

貴船神社1

 

御祭神が水の神様ということで、おみくじも水に浮かべるとその結果が書かれた文字が浮かび上がってくるという楽しいものです。

貴船神社2

 

 

こちらが本殿です。

貴船神社は古くから「氣生根(きふね)」とも表記され、氣力の生ずる根源の地であると信仰されています。

貴船神社5

 

 

そして、こちらが現在ではどの神社でも見られる絵馬です。

実はこの絵馬発祥の地がこの貴船神社なのです。

貴船神社3

古来より雨乞いの社として名高い貴船神社では、日照りが続いている時には「黒馬」を、長雨を止ませたい時には「白馬」をその都度奉納し、祈願されていました。

しかし、その都度本物の馬を奉納するのも大変です。

そこで、馬に換えて「板立馬」を奉納したと平安時代の文献は伝えています。

この「板立馬」こそが、現在の絵馬の原形と言われています。

貴船神社の本宮には黒と白の馬の銅像が祀られており、貴船大神の御神霊が込められているとされています。

貴船神社4

 

昔から馬は神様が乗る生き物と考えられていました。

馬を奉納することによって神馬(しんめ)に乗るために神様が降り立つとされていたのです。

本物の馬ではなく絵馬を奉納するようになった現在でも、馬は人々の願いを叶える神様の使いの象徴としてたくさんの人に信仰されています。

貴船神社6

 

 

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馬の病気(日本脳炎)

馬の豆知識

・馬の病気(日本脳炎)

馬にとって最も怖い病気のひとつが日本脳炎です。

子供の頃に日本脳炎ワクチンを注射されて痛い思いをしたことを覚えている方も多いのではないでしょうか。

 

日本脳炎は蚊によって媒介される病気で、色々な動物に感染しますが、発病するのはもっぱら人間と馬に限られています。

日本脳炎に感染している動物の血液を蚊が吸うと、血液中のウィルスが蚊に感染し、蚊の唾液腺で増殖したウィルスが別の動物の血液を吸う時に感染するのです。

 

日本脳炎ウィルスに感染したとしても発病率はせいぜい0.3%程度で、殆どは発熱程度で回復しますが、脳炎を発症すると致死率は40%程度にもなり、もし回復したとしても脳に後遺症が残ることがあるため、とても恐れられている病気です。

 

発症すると、高熱や沈鬱、興奮、麻痺などの神経症状が現れ、重症になると起立不能や昏睡状態となります。

 

日本ではこの病気は1948年(昭和23年)と1949年(昭和24年)に大きな流行がありました。

しかし、それ以降は日本脳炎のワクチン接種が徹底されていることもあり、大きな問題になるような流行は起こっていません。

そして、今後も日本脳炎が流行する懸念も少ないと思われます。

 

ただ、それでも普段から厩舎周りを清潔にして日本脳炎を媒介する蚊の対策を行うことは大事なことでしょう。

蚊の集まりそうな場所に殺虫剤を撒いたり、蚊取線香を焚いたり、蚊の増えそうな水溜まりを消毒したりと厩舎周りの蚊の駆除などの衛生対策を普段から行うことが大切です。

a pair of horses

 

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