芦毛の遺伝

【馬の豆知識】

・芦毛の遺伝

昔から白い毛色の馬は神秘的な存在とされてきました。

神社に奉納されている馬である神馬(しんめ)はそのほとんどの馬が白い毛色をしています。

また、ペガサスやユニコーンなどの空想上の動物も白い馬がモデルとなっています。

ペガサス
【空想上の動物であるペガサス】

 

このような白馬は「芦毛」、または「白毛」と呼ばれる毛色です。

白毛は出生時から白い毛色です。

 

しかし、芦毛の場合は出生時は鹿毛や栗毛、青毛などの基本毛色で、一見すると白くはありません。

芦毛は年を重ねるごとに全身の毛が白くなっていきます。

これは、毛根で色素を作る細胞が早く使い果たされることによって、生まれたときから全身の白髪が始まっているような状態だと考えられます。

芦毛の遺伝

芦毛は父母のどちらかが芦毛でなければ生まれません。

芦毛は優性遺伝することが分かっており、芦毛の遺伝子と基本毛色(鹿毛や栗毛など)の遺伝子がそれぞれ独立して遺伝します。

芦毛に生まれるかどうかは基本毛色の種類によらないことと関係しています。

 

世界中の様々な品種の芦毛の馬が同じ遺伝子の変異を持っているということも分かっており、世界中の芦毛の馬の祖先を辿るとおそらく一頭の馬に行きつくのではないかと考えられています。

 

草食動物である馬は野生では肉食動物から逃げて生活しなければ生きていけませんでした。

自然の中では白い色の動物は非常に目立つので、馬だけでなく白い色の動物を野生で見ることは非常に珍しいことです。

こうしてみると、芦毛や白毛の馬は偶然に誕生した白い馬を人間の手によって大事に残され、繁殖してきた特別な存在だと言えるのではないでしょうか。

芦毛の遺伝2

 

 

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ハミの歴史

【馬の豆知識】

・ハミの歴史

馬に乗るときには色々な道具を使用します。

鞍や鐙(あぶみ)、蹄鉄、ゼッケン、鞭、頭絡など様々なものがあります。

今回はその中でもハミ(馬銜)の歴史についてご紹介します。

ハミの歴史

 

ハミは馬の口に咥える馬具で、ハミを介して騎乗者の意思(方向転換や停止など)を馬に伝えます。

車でいえば、ハンドルとブレーキを兼ね備えたようなものでしょう。

 

実はこのハミは馬具の中で最も古い歴史を持っているとされています。

最も古くにハミを使用したとされるのは今からおよそ6000年も前のことになります。

後期新石器時代の遺跡からハミの断片と推測できる加工した鹿の角が発見されました。

さらに、この遺跡から一緒に発見された馬の頭骨の歯にはハミの使用によってできた摩滅が認められています。

この頃は、動物の角や骨、縄、硬い木などを素材としてハミが作られていたとされていますが、紀元前1300年から1200年ごろになると青銅製のハミが使用されるようになりました。

 

また、紀元前600年頃に製作されたと思われる浮き彫りの絵には人が騎乗している馬の姿が描かれています。

この浮き彫りの馬にはハミが装着されていますが、蹄鉄は履いておらず、鐙も腹帯もなく、鞍の代わりに毛布がかけられています。

このことからも馬具の中ではハミが最も古い歴史を持ち、この頃はハミと手綱をつけただけのほとんど裸馬に乗っていたと推測できます。

 

その後、ハミは色々な改良がされ、ハミの素材も時代によって変化してきました。

現在では、銅やステンレスなどの合金で作られているものが多く見られます。

しかし、驚くべきことに基本的な形状というのは紀元前のころからほとんど変わっていないのです。

ハミ

 

 

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馬の汗の秘密

【馬の豆知識】

・馬の汗の秘密

毎日暑い日が続きますね。

外に出ると汗が吹き出てきます。

 

もちろん馬も暑いと大量の汗をかきます。

人間と馬は動物の中でも特に汗を多くかくと言われており、二大汗かき動物と言ってもよいかもしれません。

しかし、汗のしくみには人間と馬では違いがあります。

今回のブログでは馬の汗についてご紹介します。

 

・人間と馬の汗腺の違い

実は馬と人間では汗腺の分泌のメカニズムが異なります。

馬にはアポクリン腺という汗腺が分布しています。

アポクリン腺は運動したときや、精神的に興奮したときなどに副腎から出されるアドレナリンが増えることによって発汗につながります。

 

対して、人間の汗腺のほとんどはエクリン腺と呼ばれる汗腺です。

人間の汗腺は気温が上がり、皮膚が刺激を受けることによって発汗につながります。

 

つまり、馬は運動時に上昇した体温を効率よく下げるために発汗する機能に優れており、人間は気温が高い時の体温を効率よく下げるための機能に優れているということになります。

馬が多く汗をかくにもかかわらず、夏の暑さに弱いというのはこういう理由があるからです。

汗馬の労

 

・白い汗

運動した後などに鞍の下を見てみると泡立った白い汗をかいていることがあります。

汗がまるで石鹸のように泡立っていますが、実はこの汗は石鹸とよく似た成分が多く含まれているのです。

「ラセリン」と呼ばれるこの成分は高濃度の糖タンパクが含まれています。

白く泡立った汗の原因はこのラセリンによるものなのです。

 

ラセリンは汗が被毛を通って広がりやすくなる界面活性剤のような働きをしています。

ラセリンによって皮膚全体に汗が広がりやすくなり、体表から熱を放出しやすくしているのです。

馬の汗

 

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馬が速く走れる理由3

【馬の豆知識】

・馬が速く走れる理由3

以前のブログで馬が速く走れる理由として「下肢の仕組み」についてご紹介しました。

 

今回は走る上で重要な呼吸器系や心臓、酸素運搬能力について、馬の中でも特に走能力に優れた品種であるサラブレッドを例にとってご紹介したいと思います。

馬が速く走れる理由3

 

・馬の心臓

サラブレッドの心臓の重さはおよそ5kgほどだとされています。

他の哺乳類の心臓の重さは平均的に体重の0.6%ほどであるといわれており、サラブレッドの体重を500kgとすると心臓の重さは体重の1%ほどはあるということになります。

ちなみに人間の心臓の重さは250g〜300gほどで、体重比にすると約0.4%〜0.5%ということになります。

 

心臓が大きいということは、一気に送れる血液の量が多くなるので全身の血流量が増大します。

血流量が増えることによって疲労しにくくなり、心拍数も低くなるので心臓が大きいと走るのに好都合ということになります。

また、トレーニングによって心臓が大きくなることも確認されています。

馬の心臓はまさに「スポーツ心臓」だと言えるでしょう。

 

サラブレッドの心拍数は安静時で1分間に30回〜35回ほど。

心拍数量は1分あたり24ℓ〜35ℓとなります。

心拍数量は運動強度が上がると増加し、最大運動時には1分間で350ℓまで増加します。

馬の心臓

 

・最大酸素摂取量

動物の持久力を表すのに用いられるのが最大酸素摂取量(VO2max)です。

最大酸素摂取量とは、動物が体内に取り入れることのできる酸素量の最大値で、体内における酸素の摂取や運搬および利用効率を反映しています。

 

サラブレッドの最大酸素摂取量はトレーニングされた成馬では160〜190mℓ/kg/分で、未調教の1歳馬で130〜140mℓ/kg/分ほど。

ちなみに人間の一般成人の最大酸素摂取量はおよそ40mℓ/kg/分で、トップクラスのマラソンランナーとなると倍の約80mℓ/kg/分になります。

 

最大酸素摂取量は一般的に体重の軽い小さな動物の方が大きい動物よりも多くなる傾向にあります。

それを考えると人間よりはるかに体重の重い動物である馬が人間の2倍以上の値になるということは馬がいかに持久力に優れているかとをいうのを表していると言えるでしょう。

最大酸素摂取量

 

 

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