カテゴリー別アーカイブ: 馬の豆知識

馬の歩法変換

【馬の豆知識】

・馬の歩法変換

競歩という競技があります。

競歩はその名の通り、歩くスピードを競う競技で、走ると失格になってしまいます。

しかし、競歩の選手の歩くスピードはとても速く、走っているスピードと変わらないぐらいです。

 

普通、日常生活でこれぐらいのスピードで移動しようとするのなら歩くよりも走ることを選びます。

速いスピードで歩くよりも、遅いスピードで走る方が楽だからです。

速いスピードで歩く競歩の選手を見ているとかなりしんどそうに見えますね。

人間は移動するスピードに応じて歩くことと走ることを使い分けています。

 

そして、人間と同様に馬もその移動スピードによって歩法を使い分けています。

馬は4本足の動物なので、その歩法は人間よりも複雑になり、移動スピードの遅い順から、常歩(なみあし)→速歩(はやあし)→駈歩(かけあし)→襲歩(しゅうほ)と歩法が変わります。

常歩の歩様2

速歩の歩様

 

そして、馬も人間と同じで、ある段階のスピードに達すると歩法を変え、楽で効率的な歩法で移動します。

速いスピードの常歩では疲れるので、速歩に切り替える。

逆に、遅すぎる駈歩では疲れるので、速歩に切り替えるというような感じです。

馬は何となく歩法を変えているように見えますが、実はその移動スピードにおいて最も効率的で疲れにくい歩法を選んでいるのです。

軽速歩

 

このことを調教に利用することもできます。

つまり、速歩で移動するぐらいのスピードでの運動は速歩で移動するよりも常歩で移動する方が馬にとってはしんどい運動なので、あえて常歩で移動することによって運動負荷を多くかけることができるのです。

馬の下肢部の活動

 

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蹄なくして馬なし

【馬の豆知識】

・蹄なくして馬なし

 

「蹄なくして馬なし」という言葉があります。

この言葉は馬にとって蹄がいかに大切なものかを表す言葉として、よく使われるのでみなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

草食動物である馬は野生の生活で肉食動物から逃げて生き延びていくためには、速く走らなければいけませんでした。

速く走るためには脚を回転させる「ピッチ」を上げるか、一歩の距離である「ストライド」を伸ばすかという二つの方法しかありません。

そこで、馬が進化の過程で速く走るために行ったのが「つま先立ち」です。

今現在の馬の脚先はつま先立ちで立っているようなものなのです。

馬の下肢部

遠い昔、馬の祖先は脚の先に複数の指を持っていました。

しかし、進化の過程で中指(第三指)だけが進化し、他の指は退化。

中指一本で立つようになったのです。

これによって脚を長くしてストライドを伸ばすことに成功し、速く走ることができるようになったのです。

 

しかし、指一本で立つことによって指の先端には大きな負担がかかってしまいます。

そこで、指先の皮膚全てを角質化して今現在のような蹄のつくりに進化したのです。

馬の蹄のクッション効果

蹄は「第二の心臓」と呼ばれることもある大事な部位です。

そして、そんな大事な蹄を守るのが蹄鉄です。

でも、野生の馬は蹄鉄など履いていません。

なぜ蹄鉄を履かせる必要があるのでしょうか?

 

蹄は生長しますが、運動することによって磨耗します。

野生の馬はこの生長と磨耗のバランスが上手く保たれています。

しかし、人間が乗って運動することによって蹄の生長と磨耗のバランスが崩れてしまいます。

そこで、蹄鉄によって蹄を磨耗から守っているのです。

 

ちなみに「蹄」という漢字は「足へん」に「帝(みかど)」と書かれます。

帝(みかど)といえば、天皇の別称でもあります。

この漢字の成り立ちがまさに蹄の重要さを物語っているのではないでしょうか。

装蹄

 

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人の気を引く馬

【馬の豆知識】

・人の気を引く馬

馬は頭のいい動物であり、またとても敏感な動物で周りの状況をいつもよく観察しているというのはみなさんも感じられていることなのではないでしょうか。

例えばエサの時間になると普段世話をしている人の足音や少しの物音にも反応してソワソワしたりするというようなこともよく見られます。

また、ニンジンなどをくれる人を見ると前掻きをしてニンジンをおねだりするというのもよく見られる光景ですね。

そして、以前のブログ「馬は人の表情を認識できる?/みんなの乗馬ブログ 2016年2月16日」でもご紹介したように馬は人間の笑っている顔や怒っている顔などの表情を見て人間の感情を認識できるのではないかという調査結果もあります。

 

しかし、実は馬は私たちが思っているよりももっと人間のことをよく観察しているのではないかという研究結果が発表されました。

 

12月16日の朝日新聞デジタルに非常に興味深い記事が掲載されています。

以下朝日新聞デジタル「馬は困ったら人に助け求める 神戸大、馬術部8頭で検証」より引用。

馬は困ったときに人の注意をひいて助けを求める――。こんな研究結果を神戸大国際文化学研究科の山本真也准教授(比較認知科学)らが発表した。国際学術誌に掲載された。

馬は約6千年前から家畜として、人の暮らしと密接に関わってきた。これまでに人の表情を理解し、見た目や声で人を見分けることは分かっていた。今回は馬が困ったときにどんな行動をとるか検証した。

同大馬術部のサラブレッド8頭と学生の協力を得た。まず、馬から届かないところに置かれたバケツに、学生がニンジンを入れてその場を離れる。

その様子を見ていなかった飼育員の学生が来ると、馬は飼育員の近くに行き、長い時間見つめたり、鼻で飼育員を触ったりした。

研究チームは「えさを取って欲しい」と伝えるために助けを求める行動をした、と判断している。えさを入れなかったときより入れた方が助けを求める行動は多かった。

次に、バケツにニンジンを入れる場面を飼育員が見ている時と見ていない時を比べると、見ていなかった方が、馬がより飼育員の注意を引こうとしていた。
馬は頭が良い、心を読むなどと言われるが、犬と違ってあまり検証はされていなかった。同大のリングホーファー萌奈美・学術研究員は「飼育員がえさの存在を知っているかどうかを判断して行動を変えたとみられる」と話す。

 

馬はとても敏感な動物で周りの状況を目や耳で常によく観察しているのはみなさんもよくご存じだと思います。

しかし、ニンジンをバケツに入れる場面を飼育員が見ていたのか見ていなかったのかまでを観察して判断し、人間の注意を引こうとしているのはちょっと驚きですね!

そして、助けを求めてジッと長い時間見つめたり、鼻先で人をつついたりする馬の可愛さや健気な行動にもメロメロになっちゃいますね♪

人の気を引く馬

 

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プアパフォーマンスと呼吸器疾患

【馬の豆知識】

・プアパフォーマンスと呼吸器疾患

乗用馬や競走馬などの運動用馬にはプアパフォーマンス(Poor Performance)という言葉があります。

プアパフォーマンスとは故障や疾患などの何らかの原因によってその馬が持っている能力(パフォーマンス)をフルに発揮できないことを言います。

 

プアパフォーマンスの原因は運動器系である骨や筋肉、蹄などの疾患が多いのですが、運動器疾患が見られないのに能力を発揮できない馬がいます。

その場合に原因として考えられるのが呼吸器疾患です。

特に競走馬においては呼吸器疾患が能力に与える影響は非常に大きいと考えられています。

馬の呼吸

馬は人間と違い、口では呼吸ができず鼻でのみ呼吸を行っています。

馬の安静時の呼吸数は1分間に10回ほどですが、競走馬が走っている時には150回ほどにまで達します。

馬が走っている時には腸などの消化器が重心移動によって前後するので、呼吸数は走行歩数によって決まってきます。

1分間に約150回も呼吸するためには空気を吸って吐くという行動を短時間で繰り返さなければいけません。

呼吸器に何らかの異常があれば、走行能力に大きな影響を与え、プアパフォーマンスに繋がっていくのです。

 

呼吸器疾患としてよく知られているのが喘鳴症、いわゆる「ノド鳴り」と呼ばれているものです。

ノド鳴りは喉頭片麻痺や軟口蓋の背方変位などの疾患などによって、異常な呼吸音を発します。

「ヒューヒュー」という乾いた音を発する喉頭片麻痺、「ゴロゴロ」「ゲロゲロ」という湿った音を発する軟口蓋の背方変位など、正常な呼吸では発しない音なので比較的容易に聞き分けることができます。

 

呼吸器疾患の疑いのある馬は内視鏡によって検査され、手術が必要とされた場合は手術によって治療が行われます。

手術によって正常な呼吸ができるようになり、プアパフォーマンスが改善されたという例は多く、手術の成功率も高いとされています。

プアパフォーマンスと呼吸器疾患

 

 

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