ユルリ島に生きる野生馬2

・ユルリ島に生きる野生馬2

ユルリ島2

ユルリ島に最初に馬が持ち込まれたのは1950年代の初頭だとされています。

その後、次々に本土からユルリ島に馬が持ち込まれ、馬たちは昆布漁の運搬に活躍しました。

ユルリ島で暮らす馬は、ペルシュロンブルトン、アングロノルマン、そして日本在来種である北海道和種(道産子)などを交配した輓馬型の半血種です。

また、ユルリ島の馬たちの基礎となった4頭の牡馬には改良和種やペルシュロン系と記録されたものや、血統不明の馬もいます。

この地域の厳しい寒さに耐えることのできる頑強な性質を備えた血統といえるのではないでしょうか。

ユルリ島の野生馬

 

馬は30~40m程ある崖の上で、網に詰め木枠に入れられた昆布を櫓に下がった滑車を使って引き上げました。

最も多い時期には、約9軒の番屋と7基の櫓があったとされています。

しかし、1965年以降になると北海道本土に新しい干場ができるようになり、エンジン付きの船も普及しはじめます。

それは、島に渡った漁師にとってユルリ島で生活を続ける必要がなくなったことを意味します。

やがて島から人が去り始め、1971年にはついに最後の漁師がユルリ島を去ると、島から人がいなくなってしまいました。

 

ではユルリ島にいた馬たちも一緒に本土に帰ってきたのでしょうか?

漁師たちは元々、土地を求めてユルリ島にやってきたのであり、本土に馬を連れて帰ってきたところで放牧する場所もなく、肉として売るしかありません。

これまで頑張ってきた馬に幸せな余生を送ってもらうにはどうすればよいか考えた末に漁師はユルリ島に馬を残してくることを決断したのです。

幸いなことに、ユルリ島には馬が食べるための草がたくさん生い茂っており、湧き水も豊富でエサや飲み水には困らない環境でした。

島に残された馬は自らの力で生き、繁殖します。

近親交配を避けるために種馬のみを数年おきに入れ替えられ、牡馬が生まれると間引きされ、多いときにはおよそ30頭の馬たちがユルリ島で生活していました。

しかし2006年、漁師たちの高齢化もあり種馬すべてを本土に連れていくことになりました。

そのため、島に残された馬は14頭の牝馬しかいなくなり、馬が繁殖することができない状況となりました。

 

その後は頭数が減り続け、2011年は12頭、2013年に10頭、2015年には5頭にまで頭数が減ってしまいました。

このままでは近い将来、ユルリ島から馬がいなくなってしまうでしょう。

 

そんなユルリ島の今を記録として残す一人の写真家がいます。

次回のブログではユルリ島の野生馬の写真を撮り続ける写真家をご紹介します。

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「ユルリ島に生きる野生馬2」への3件のフィードバック

  1. こんにちは!いつも楽しみに読んでいます。
    このユルリ島が舞台になっている(と思われる)小説を、少し前に読みました。
    「颶風(ぐふう)の王」 っていうんですけど、ご存知かもしれないなぁ、おもしろかったです~
    これからも、楽しい記事をよろしくお願いします^^

    1. しろくまさん

      こんにちは!コメントありがとうございます。
      実は私もつい最近「颶風の王」を読みましてとても感動しました!
      本当に素敵な小説ですよね!
      無人島のユルリ島で馬たちが逞しく生きているということをたくさんの人に知っていただきたいですね!
      これからもよろしくお願いします^^

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