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乗馬の上達方法

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駈歩での乗馬上達方法1

駈歩は常歩や速歩に比べてスピードが出る歩法で、頭や頸が上下前後に激しく動き騎乗者にはうねるような揺れが伝わります。

最初はそのスピードと揺れに戸惑うかもしれませんが、慣れてしまえばとても快適で気持ちが良いものです。

駈歩が自由自在にできるようになると乗馬がさらに楽しくなることは間違いないので是非ともマスターして乗馬の醍醐味を味わいましょう!

ちなみに「かけあし」の正しい漢字表記は「駈足」や「駆足」ではなく「駈歩」です。

こちらもパソコンなどの漢字変換では「駈足」や「駆足」と出てしまうと思うので間違えないように気をつけて下さいね。

駈歩は英語ではキャンター(canter)と言います。

駈歩 (2)

駈歩の歩様

速歩は左右の肢が対称に動く歩様でしたが、駈歩は左右の肢が非対称の動きをし、左手前の駈歩と右手前の駈歩があります。

手前といっても軽速歩のように騎乗者が立つ座るで決まる手前ではなく、馬の左右どちらの肢が前に出ているか(最後に着地するか)で手前が決まります。

これは左手前の駈歩の歩様を表したイラストです。

左手前駈歩

(1)右後肢→(2)左後肢からほぼ同時に右前肢→(3)左前肢→全部の肢が空中に浮いている(空間期)という順番で肢が動き(地面に着地し)、三拍子のリズムを刻みます。

駈歩のスピードが上がると完歩の幅が広がるので(2)でほぼ同時だった左後肢と右前肢の動きに時間差が生じ、(1)右後肢→(2)左後肢→(3)右前肢→(4)左前肢の順になり四拍子のリズムを刻みます。

そしてこちらが右手前での駈歩の歩様を表したイラストです。

右手前駈歩

(1)左後肢→(2)右後肢からほぼ同時に左前肢→(3)右前肢→全部の肢が空中に浮いている(空間期)という順番で肢が動き(地面に着地し)、三拍子のリズムを刻みます

この場合も駈歩のスピードが上がると完歩の幅が広がるので(2)でほぼ同時だった右後肢と左前肢の動きに時間差が生じ、(1)左後肢→(2)右後肢→(3)左前肢→(4)右前肢の順になり四拍子のリズムを刻みます。

この動きを駈歩の交差歩法と言います。

なぜ交差歩法と呼ばれているかというと駈歩の時の肢の動き(右手前)を図で表すと次のようになります。

交差歩法_800

駈歩の時のそれぞれの肢の動きの順番を矢印で結ぶと矢印が交差しています。

なので、この動きを駈歩の交差歩法と呼びます。

この交差歩法が馬にとっての駈歩の正しい肢の動きですが、交差歩法に対して回転歩法と呼ばれる駈歩もあります。

この回転歩法は鹿や犬が得意とする歩法ですが、馬の駈歩としては決して正しい動きとは言えず不正駈歩とも呼ばれます。

この回転歩法の肢の動き(右手前)を図で表すと次のようになります。

回転歩法_800

回転歩法の肢の動きは右手前の場合、(1)右後肢→(2)左後肢→(3)左前肢→(4)右前肢となります。

この時の肢の動きを矢印で結ぶと矢印は回転していますね。

なのでこの動きを駈歩の回転歩法と呼びます。

しかし、馬も不正駈歩と呼ばれるこの回転歩法を有効的に使う場面があります。

競馬のスタートでゲートから出る時の馬はこの回転歩法を使ってダッシュしている馬がいます。

回転歩法を使用した方が狭いゲートの中から体を真っすぐにして出られるというのがその理由だと言われていますが、この回転歩法は交差歩法に比べて多くのエネルギーを消費してしまうためにゲートを出て数歩で交差歩法に歩法をチェンジします。

回転襲歩

(競馬のスタート時。回転歩法でダッシュする馬もいれば最初から交差歩法でスタートする馬もいる)

駈歩は左回りでの運動では左手前、右回りでの運動では右手前での動きが自然です。

もし逆の手前で隅角を曲がると遠心力がかかって曲がりにくいですし、騎乗していてもギクシャクした感覚で違和感を感じます。

正しい扶助で駈歩を出すとたいていの馬は正しい手前で発進してくれますが、まれに逆の手前で発進してしまう馬もいます。

その時は一旦、常歩に落としてからもう一度正しい手前で発進するようにすると良いでしょう。

駈歩の速度は1分間に約340mぐらいですが競技によって速度は変わり、障害飛越競技で約350m/分、総合馬術競技のクロスカントリーだと速度は上がり約550m/分ぐらいになります。

競馬での走り方である襲歩(ギャロップ)は駈歩の速度がさらに増した走法で1000m/分以上にもなり、時速にすると60kmぐらいにもなります。

駈歩の発進

「駈歩を出したいのに駈歩が出ない」「駈歩を出そうとしても速歩が出てしまう」という悩みを持っている人も多いと思います。

発進の合図を馬に正しく伝えることがまずは駈歩の第一関門ですね。

駈歩は最初のうちは輪乗りで練習しましょう。

輪乗りの方がスピードやリズムが安定します。

3ポイント駈歩

駈歩発進を上手く伝えるにはいくつかのポイントがあります。


【騎乗者の姿勢を整える】

まずはリラックスして姿勢を整えましょう。

力が入って騎乗者の姿勢が崩れていては馬に正しく合図が伝わりません。

「よし!駈歩を出すぞ!」と力みすぎると前かがみの姿勢になりがちなので、背筋は真っすぐに伸ばすように常に意識します。

そして手綱は適度な張りを保っておきます。

手綱が弛んでしまうと駈歩の合図を出しても速歩が出てしまいがちです。


【馬の姿勢を整える】

騎乗者の姿勢を整えたら次は馬を駈歩の出せる姿勢に持っていきましょう。

常歩から駈歩を出す場合はダラダラとした常歩からでは駈歩が出にくいので歩度を伸ばしキビキビと歩かせます。

そして、駈歩が出やすいように内方姿勢を取り、わずかに手綱を使い収縮姿勢を作ります。

収縮姿勢と言っても脚での扶助は緩めずに前進気勢は保ったままで手綱で馬体を詰めます。

馬の体が伸びきったままだと駈歩が出にくいので、バネのように一旦縮めておいてパッと放つようなイメージですね。

ハミで気勢を止めるのではなく、推進力を利用して馬体を収縮させます。


【駈歩発進の合図を送る】

馬を駈歩発進のできる体勢に持っていったら駈歩の合図を送ります。

外方の脚を軽く後ろに引き内方の脚で腹部を圧迫します。

この時に脚を動かすことによって力が入り体のバランスを崩さないように気をつけましょう。

  • 発進の時に外方脚を後ろに引く意味って?

さて、なぜ駈歩の発進の時に外方脚を後ろに引いて合図するのでしょうか?

例えば左手前の駈歩の時は外方脚である右脚を後ろに引きますよね。

では左手前の駈歩の時に一番最初に動いて起点となる馬の肢はどの肢でしょうか?

そう!右後肢ですね!

右脚を後ろに引くことによって駈歩の起点となる右後肢に対して合図を送っているんですね(左手前の場合)


【駈歩の維持】

駈歩の発進がうまくできたら次は駈歩の維持です。

「駈歩は発進できたけどすぐに速歩に落ちてしまう」という人も多いかと思います。

駈歩が続かない原因は色々とありますが、主に次のようなことが多いです。

  • 手綱を引っ張ってしまいブレーキをかけている・・・
    駈歩の時に手綱でバランスを取ってしまい無意識のうちに手綱を引いてしまっているパターンです。
    速歩の時と同様に坐骨でバランスを取り、手綱は駈歩の動きに合わせて適度な張りを維持します。
    また、手綱は逆に弛んでいても速歩に落ちてしまいます。
  • 脚の扶助不足・・・
    身体が緊張して硬直すると脚が自在に使えず、扶助が送りにくくなります。
    リラックスして乗れれば脚が使いやすくなります。
    ただ、脚は馬の様子によって強さやタイミングを使い分けましょう。
    前進気勢があり、反応のいい馬に常に扶助を送り続けると馬に与えるプレッシャーが強くなりすぎます。
    かと言ってスピードが落ちてから脚を使ってもタイミングが遅くて速歩に落ちてしまうので、その少し前に「スピードが落ちそうだな」と感じたらすぐに扶助を送りましょう。
    反応の鈍い馬には一歩ごとに扶助を送ります。
駈歩



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