カテゴリー別アーカイブ: 馬の豆知識

謎の器官

【馬の豆知識】

・謎の器官

これまでご紹介してきたように馬は五感が優れており、様々な器官を効率よく使って運動パフォーマンスを上げています。

しかし、動物の身体にはどういう機能を持っているのかよく分からない器官もまれに存在します。

馬にとっては喉のう(こうのう)という器官がそれにあたります。

漢字では喉嚢と書きますが、難しい漢字なのでここでは喉のうと表記します。

喉のうは耳とノドを結ぶ耳管が拡張した大きな空洞で左右一対あり、拳ほどの大きさです。

馬以外ではサイやバクのような奇蹄類の動物にしか見られないような珍しい器官です。

喉のう

頭部に位置する器官でこれだけ大きな容積がある器官に何の役割もないというのは考えにくいのですが、まだ現在のところ喉のうの機能は詳しく解明されていないようです。

しかし、いくつかの仮説はあるようで例えば、脳へ流れる血液の温度を下げる役割をしているという説があります。
運動時には体温が上昇するので、その上昇した体温で温められた血液を喉のうで冷やしてから脳へ送り込むといういわばラジエーターのような役割を果たしているということです。
実際のところ喉のうには脳へ血液を送る大きな血管も通っています。

そして、もうひとつは生体防御機能として働いているという説です。
喉のうの内壁の粘膜上皮細胞などの作用によって、細菌などの異物が体内に入り込むことを防いでいるという説です。

このような二つの仮説が立てられていますが実際のところ本当なのかどうかはまだハッキリと解明されておらず、喉のうはいまだに謎の部分が大きい器官です。

喉のうの機能はハッキリと分かっていませんが、この部分も病気になることがあります。

気道などに存在する細菌や真菌(カビ)が組織の深部に侵入し、喉のうの粘膜層が破壊され、鼻出血や舌萎縮、発汗、震え、顔面麻痺などを引き起こす「喉のう真菌症」いう病気があり、またその真菌によって喉のうに炎症が発症した場合(喉のう炎)は手遅れになると致命傷になることもあり、ひどい場合は真菌によって動脈血管が破られて出血多量で死に至ることもあります。

有名な馬ではオグリキャップ、タケホープ、リンカーンなどがこの喉のう炎を発症したことが知られています。

予防法としては真菌が関与しているので、馬房の通気を良くして衛生状態を良好に保っておくのが大切です。

 

このように医学が発達した現代でもまだまだ解明されていない謎の器官というものが馬には存在します。

何とも神秘的な感じがしますね。

 

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蹄機作用

【馬の豆知識】

・蹄機作用

馬はおよそ400キロから500キロもある体重をその細い肢と蹄で支えています。

なので肢と蹄にはかなりの負重がかかるのですが、その負重を逆に利用しているのが今回ご紹介する蹄機作用(ていきさよう)というものです。

馬が歩いたり走ったりするときに蹄が地面に着地して蹄に体重がかかるとその体重で蹄がわずかに外側に広がります。

主に蹄の後ろ側(踵の方)が広がる割合が大きくなります。

蹄機作用

そして、蹄が地面から離れると外側に広がっていた部分がまた元に戻ります。

この蹄の開閉作用のことを「蹄機作用」と言います。

この蹄機作用を阻害しないように装蹄のときには蹄の後ろ側にはクギを打たないことがほとんどです。

 

さて、この蹄機作用が馬にとってどういう効果があるかというと、蹄にはポンプのような役割 があります。

蹄の中には多数の血管が入り組んでおり、蹄まで血液が流れ込んできます。

しかし、心臓の圧力だけでは蹄先までいった血液を心臓に再び戻せません。

そこで、この蹄機作用の働きにより蹄先から心臓まで血液を戻す手助け、いわばポンプのような役割を果たしているのです。

この働きにより、運動することによって蹄の先まで常に新鮮な血液が行きわたることになります。

肢がむくんだ時などは軽い運動で負荷を与えるとむくみが解消することがありますが、それはこの蹄機作用によって血液の循環が促されることが大きな理由のひとつになっています。

馬は歩けなくなると命に関わるというのは蹄機作用が行われないことにより、蹄内に古い血液が停留し組織が壊死してしまうからというのも大きな原因のひとつでしょう。

また蹄機作用には蹄が変形することにより、着地時の衝撃の一部を吸収するクッションのような役割も持ち合わせています。

 

「蹄なくして馬なし」という言葉もあるように蹄はまさに第二の心臓とも言える働きをしているのです。

 

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馬の肺

【馬の豆知識】

・馬の肺

最近のこのブログでは馬の内臓のことについて触れてきましたが、今回も馬の内臓シリーズということで馬の肺について触れたいと思います。

肺は酸素を吸収し二酸化炭素を排出する役割を持っています。

馬は激しい運動をする時には大きな鼻から少しでも多くの酸素を取り入れようと、鼻孔の筋肉を使い鼻の孔を押し広げています。

馬は長い距離を速いスピードで走ることができますが、走行中は大量のエネルギーを消費するために、大量の酸素が常に必要になってきます。 その酸素を効率よく身体中に送れるようにするために、前にブログでご紹介したような大きな心臓であったり、血液の造りであったり、その血液を大量に蓄えることができる脾臓であったりと馬は運動するのに非常に効率的な身体の造りになっています。

今回ご紹介する肺ももちろん運動する上でとても重要な役割を果たしています。 人間の肺の重さは体重の1%にも満たないですが、馬の肺の重さは体重のおよそ1.5%を占めます。

肺の中には肺胞と呼ばれる小さな袋があり、その肺胞はたくさんの毛細血管に包まれています。 その肺胞の壁を通して酸素と二酸化炭素の交換が行われますが、肺におけるガス交換は肺胞の総表面積が広ければ広いほど効率よく行われます。

例えば人の肺胞の総表面積は約70~80平方メートルです。 これはよく言われる話でみなさんも聞いたことがあるかもしれませんが、テニスコート1面分に相当します。 人間でもこれだけ効率よく肺でガス交換を行っていますが、馬は当然それ以上の肺胞の表面積でおよそ2500平方メートルにもなります。

これは何とお城ほどの表面積があるということです。

馬の肺の中では、いかにたくさんのガス交換が行われているかが分かりますね。

ちなみに多くの哺乳類では右の肺の方が左の肺よりも大きくできています。 これは心臓が左の方に位置しているために左側の胸腔が狭くなっていることや、右肺が大量の空気を送り込む仕組みになっているためです。 ちなみに右左の容積比は人間で8:7、馬で4:3の割合となっています。

 

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馬の脾臓2

【馬の豆知識】

・馬の脾臓2

前回は脾臓(ひぞう)の機能について書きましたが、今回もその続きです。

馬は脾臓の中に濃厚な血液を大量に蓄えています。

その大量に蓄えられた血液を運動中に血流中に放出することで、酸素の運搬能力を向上させることにより運動パフォーマンスを上げています。

このように脾臓に蓄えられた血液は必要になったときにだけ使われるという点で非常に効率的な仕組みになっています。

しかし、その脾臓は血液を貯蔵する環境としては決して良い環境とは言えません。

なぜならば、脾臓の中は酸性度が高いので赤血球が長い間貯留していると表面が硬くて多くのトゲがある異常赤血球に変化していってしまいます。

この異常赤血球は正常な赤血球に比べると酸素の運搬能力が劣り、表面が硬いので変形しにくく毛細血管を通過できなくなります。

なのでこの異常赤血球が脾臓から血中に流れ込んでも、運動パフォーマンスの向上にはつながりにくくなってしまいます。

そこで、この異常赤血球を出現を防ぐ方法として、何日かに一度は強い運動負荷を与えて脾臓に蓄えられた血液を入れ替えることが必要となってきます。

例えば競走馬の場合では400m~800mの距離の全力疾走を2日か3日おきに行うことで脾臓内の血液を交換でき、異常赤血球の出現を抑えることができると言われています。

このように競走馬が毎日のように行っている調教はただ肉体面の鍛錬だけでなく脾臓内の血液を交換させ、常に新鮮な血液を脾臓内に蓄えておくためという側面も持っています。

脾臓2
(競走馬が日々行っている調教では外面的なものだけではなく内面的な鍛錬という意味合いも持っている)

 

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